壁に描かれた、子どもたちの思い――取り壊される、長与町図書館を訪ねて

ニュースを見て、訪ねてみた

2026年9月初旬、テレビのニュースで、長与町図書館がまもなく閉館し、建物が取り壊される予定だと知りました。
そして、その壁面を利用して、子どもたちがウォールアートを描いていると紹介されていました。

「どんな絵が描かれているのだろう」
そう思い、9月13日の日曜日、そのウォールアートを見に長与町図書館を訪ねました。

長与町図書館

壁いっぱいに広がる子どもたちの世界

実際に目にすると、想像していた以上に素敵な作品でした。
色とりどりの絵が壁面を彩り、大きなキャンバスになっています。

子どもたちの自由な発想や、それぞれの個性が感じられる作品を眺めていると、取り壊しを控えた建物とは思えないほど、そこには明るく温かな空気がありました。

ウォールアート

建物がなくなっても、思い出は残る

図書館という場所には、本を読む、勉強するという機能だけではなく、さまざまな人の思い出が積み重なっています。

  • 子どもの頃に初めて本を借りた人。
  • 学校帰りに立ち寄った人。
  • 静かな館内で勉強した人。
  • 家族と一緒に訪れた人。

長い年月の中で、そうした一人ひとりの記憶が、この建物に刻まれてきたのだと思います。

建物はやがて姿を消すかもしれません。
しかし、そこで過ごした時間や思い出まで消えてしまうわけではありません。

今回のウォールアートは、そんな「場所の記憶」を次の世代へつなぐものにも感じられました。

ウォールアート

建築は「器」だけではない

建築に携わる者として、今回の訪問で改めて感じたことがあります。

建物の価値は、形やデザイン、構造、機能だけでは決まりません。
そこに人が集まり、時間を過ごし、思い出を重ねる。

その積み重ねによって、建物は単なる「建築」から、地域にとって大切な「場所」になっていくのではないでしょうか。

長与町図書館の壁に描かれた子どもたちの絵は、そのことを静かに教えてくれているようでした。

ウォールアート

閑話休題

最後の壁に、新しい記憶を

古い建物が役目を終え、新しい施設へとバトンを渡す。
それは、まちが変わっていく中で自然なことなのかもしれません。

けれど、その最後の時間に子どもたちが描いたウォールアートは、この建物に新たな記憶を刻みました。
建物がなくなっても、そこに描かれた絵を見た人の心には、その風景が残っていく。

図書館の最後を飾る子どもたちの絵。

それは、古い建物から新しいまちへと渡される、温かな「記憶のバトン」のように思えました。

ウォールアート

長与町図書館の詳細は公式ホームページをご覧下さい

投稿者:株式会社植松 代表取締役 植松文也
(一級建築士・1級建築施工管理技士)
マイペストプロ長崎に選出されています。