「子育てグリーン住宅支援事業」の補助額を、リフォームに絞りより詳しくご説明します。
この事業は、2025年に実施される、全ての世帯が対象の省エネ住宅向けの補助金制度です。リフォームの場合、最大60万円/戸の補助が受けられます。
補助額の算出方法と上限額
- リフォームの補助額は、実施する工事内容ごとに定められた定額の合計値で算出されます。
- 基本的に、同種工事または同種設備を複数申請することは出来ません。
- 開口部の改修や節湯水栓などは、複数の申請が出来ます。
- さらに、以下の上限額が設定されています。
Sタイプ:上限60万円/戸
必須リフォーム3つ(開口部断熱改修、躯体断熱改修、エコ住宅設備の設置)をすべて実施する場合。
Aタイプ:上限40万円/戸
必須リフォームのうち最低2つ以上実施する場合。
重要ポイント:
- 1申請あたりの合計補助額が5万円未満の場合は補助対象外となります。
- 窓リノベなどと併用する場合も、窓リノベが5万円未満では併用できません。
- 同一住宅に複数回のリフォーム工事を行う場合、上限額の範囲内で複数回申請することができます。
- ただし、1申請ごとに必須工事を2つのカテゴリー以上かつ補助額が5万円以上であることが必要です。

補助対象となる工事と補助額例
補助対象となる工事は大きく分けて「必須工事」と「任意工事」の2種類があり、任意工事は必須工事と合わせて実施した場合のみ補助対象となります。
【必須工事】
以下の3つの工事のうち、いずれか2つ以上を実施する必要があります。
開口部の断熱改修(窓・ドア)
- 内窓設置、外窓交換、ガラス交換、ドア交換などが対象です。
- 窓の大きさや断熱性能によって補助額が異なります。
例:内窓設置
- 【小】(0.2㎡以上~1.6㎡未満): 11,000円/箇所
- 【中】(1.6㎡以上~2.8㎡未満): 13,000円/箇所
- 【大】(2.8㎡以上): 17,000円/箇所
例:外窓交換
- 【小】(0.2㎡以上~1.6㎡未満): 22,000円/箇所
- 【中】(1.6㎡以上~2.8㎡未満): 27,000円/箇所
- 【大】(2.8㎡以上): 34,000円/箇所
ドア交換: 43,000円/箇所 など
躯体の断熱改修(外壁、屋根・天井、床)
- 外壁、屋根・天井、床の断熱性を高める工事です。
- 対象となる箇所の面積や断熱材の種類、工事範囲(全体断熱か部分断熱か)によって補助額が異なります。
- 例:外壁(全体): 169,000円/戸
- 例:外壁(部分): 84,000円/戸
- 例:屋根・天井(全体): 60,000円/戸
- 例:屋根・天井(部分): 30,000円/戸
- 例:床(全体): 105,000円/戸
- 例:床(部分): 52,000円/戸
エコ住宅設備の設置
- 高効率給湯器(エコキュート、エコジョーズ、エネファームなど)、節水型トイレ、太陽熱利用システム、蓄電池などが対象です。
- 設備の種類によって定額の補助額が定められています。
- 例:高効率給湯器(エコキュートなど): 30,000円/台
- 例:節水型トイレ: 21,000円/台
- 例:高断熱浴槽: 32,000円/戸
- 例:節湯水栓: 6,000円/台
【任意工事】
必須工事と合わせて実施した場合に対象となります。
子育て対応改修
- 家事負担の軽減に資する住宅設備 例:浴室乾燥機: 23,000円/戸
- 防犯性の向上に資する開口部の改修
- 生活騒音への配慮に資する開口部の改修
- キッチンセットの交換を伴う対面化改修工事: 91,000円/戸
防災性向上改修
バリアフリー改修
手すり6,000円/戸、段差解消7,000円/戸、衝撃緩和畳の設置: 23,000円/戸(4.5畳以上)など
空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置:
20,000円~27,000円/台(能力による)
リフォーム瑕疵保険への加入:
7,000円/契約

他の補助金との併用について
- 原則として、本事業と国の他の補助制度を、併用することはできません。
- ただし、「先進的窓リノベ2025事業」や「給湯省エネ2025事業」など、「住宅省エネ2025キャンペーン」を構成する他の事業とは、補助対象が重複しない範囲で併用可能です。
- 例えば、窓リフォームを「先進的窓リノベ2025事業」で申請し、その他の断熱改修やエコ設備設置を「子育てグリーン住宅支援事業」で申請するといった組み合わせが考えられます。
- 地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除き、併用可能です。

閑話休題
広範囲な補助対象
このように、子育てグリーン住宅支援事業におけるリフォームの補助対象は、バラエティーに富み実に広範囲です。
そもそも、住居であれば別荘でもOKで、誰でも対象となるので門戸は大きく開かれています。
一方、今年からZEH水準と必須工事の2種類が求められたので、補助申請の敷居は一気に高くなりました。
それでも、リフォーム補助金活用の本丸であることには、変わりありません。
補助金事業の理想的な組合せ
さて、住宅リフォーム補助事業のベストプランは次の通りとなります。
- 開口部の断熱改修は、先進的窓リノベ2025事業で
- エコキュートは、給湯省エネ2025事業で
- エコ住宅設備や子育て対応改修などは、子育てグリーン住宅支援事業で
しかし、九州などの温暖な地域で、開口部改修におけるZEH基準はオーバースペックです。しかも、古い家ほど肝心の躯体断熱性能が貧弱です。断熱材すらない住宅がたくさんあります。
温暖地域でのお薦めプラン
そこで、マイホームグラウンドの長崎県などは、次の組合せがナイスプランとなります。
- まず躯体の断熱改修とエコ住宅設備の組合せで、必須工事の条件をクリアします。居間などの部分断熱でもビックリするほどの断熱効果が得られます。
- さらに開口部改修は、ZEH基準以下の内窓であっても防音改修として補助対象になります。中の大きさで10,000円/箇所です。断熱も十分です。ZEH基準製品との価格差を考慮すると、ありありです。
- 上記はほんの一例ですが、防音対策なども含めて子育て対応改修は守備範囲が広く、省エネを意識しないリフォームでも対象となることが多いのです。
- 中でも、キッチンセットの交換を伴う対面化改修工事は91,000円/戸と高額で、コスパ的にも一押しです。
その他、よりコストパフォーマンスが高い工事や製品の選定など、設計施工と申請の両方を手がけていないと、分からないことが多いのです。
補助金は二の次です
皆様に有益な情報をお届けしたいのが一番で、その結果として受注に繋げればとコラムを書いています。そこで、大事なことをお伝えしなければなりません。
補助金よりもっと大事なことは、当たり前ですが設計と施工です。
例えば、躯体の断熱改修では、技術的知識と真摯な施工が必要です。どんなに優れたスペックの断熱材を充填しても、施工が悪ければ台無しです。
リフォームにおける柔軟で確かな設計と施工。加えて、落ちのない補助金申請。一貫して責任を持って手がける必要があります。
分業制の大手では、むしろ難しいかもしれないのです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。